定期的に読み直す本

 

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バーボン・ストリート・ブルース (ちくま文庫) | 高田 渡 |本 | 通販 | Amazon

最初からコアな一冊です。

2008年の年末年始に一人でメキシコを旅していた時に、たまたま入ったカフェに置いてあって、お持ち帰り自由だったので頂戴したのが、この本との出会いです。

筆者の高田渡さんは、1949年生まれのフォークシンガー(2005年に亡くなってます。)本は、高田さんの人生記とエッセイが混ざったような内容です。

浮浪者兼居候だった叔父さんに自転車を貸したら、ヒョイっと乗ってそのまま一生帰って来なかったとか、三陸の暴走族主催のコンサートの話、学生運動の人たちを批判している文章とか、令和の現代では中々ないストーリーが淡々と記されていて、戦後の風俗史を読んでいるようです。人間好きとしてはとても惹かれます。

また高田さんは、音楽業界でフォークソングというジャンルで歌っていたこともあって、人気商売や人間のミーハー心に関して達観に近い意見を持っています。そして「自分は絶対に、中途半端なところで音楽をやめない。やるからには自分で納得するまでやる」の思いを心にしまっています。周りの声が大きいけど移り気な人たちに対して、高田さんは「ふん」と思うところがあった様です。実は私自身も10代の頃からそんなメンタリティを育んでしまっており、見るたびになんと言うか、当時の「みんなに埋もれないぞ」心を取り戻したような気持ちになります。

あと多分、「自ら多くは語らないけど、じっと物事を見ていて、深く考えている。言うときは毅然と言う」みたいな人が、私はとても好きなのです。

 

 

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プレゼント 世界で1番大切な自分の見つけかた (中経の文庫) | 坂之上洋子 | 哲学・思想 | Kindleストア | Amazon

この本は、う〜ん、絵本と言うか詩集のような形で、綺麗なイラストに、ハッとする文章がついています。

特に心に埋め込まれているメッセージは、これです。

「意地悪な言葉を投げつけたれた時に

あの人がこう言った、あぁ言ったって

何度も何度も思い返して涙ぐんでいたら

言葉の糸に絡まって

いつの間にか自分の方が消耗して 動けなくなってしまう

言葉はね 好きな言葉だけ 自分にからめて 慈しむの

 そのほかのいらない言葉の糸たちは するりと外して

決して自分に絡ませない 優雅にね

好きでないものを 身につけなくていいのよ

着るものを選ぶように 醜い言葉は着なくていいの」

この本は、2010年にサンフランシスコの紀伊国屋書店で買いました。

2010年は父が亡くなった直後で、道ゆくよそのお父さんたちを見ては心がやわやわになっていた時期だったので、この本のメッセージは随分しみこみました。

他にも、この10年間のたくさんの場面で、この本の言葉に支えられて来ました。

 

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自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術 (朝日新書) | 下園 壮太 | 心理学 | Kindleストア | Amazon

2016〜2017年頃の出会いだった気がします。「自分はうつになるポテンシャルがあるぞ」と思い始めて、予防したくて、関連本を買い集めていた時にこの本も買いました。

著者の下園壮太さんは自衛隊のメンタル教官で、東日本大震災の支援を含む、自衛隊での現場経験から築いた独自のメンタルヘルス理論を、「疲労のコントロール」をポイントに解説しています。

この本の一番良かったところは、人が体力的にも精神的にも、疲労を感じるステップを自衛隊の実例を使いながら解説してくれたところでした。「文句ひとつ言わないで頑張るタイプが一番危ない」や、「日本人は村社会民族なので、自分が体調が悪くてもとりあえず頑張っている姿を周りに見せて、その村の長に休むよう言われてやっと休む」など、その通りだ・・・!と思う実例が周りの人でたくさんいて、震えました。

あと、読んでいくうちに、これまで自分の仕事へのやる気の問題かと悩んでいたことが解消されました。例えば「気分や体調のムラっ気がある」に関して、これまで「気力の問題」と認識していたことが、実際は体力的に疲労が重なったことに起因しており、現状打破に必要なのは気力でなく休息、とわかって安心できました。

知っておくだけで楽になることはたくさんあるから、メンタルヘルスに興味がない人にも、オススメしたい本です。疲れない人間はいないし。

 

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Amazon.co.jp: 運を育てる 米長邦雄の“勝負” (祥伝社黄金文庫) eBook: 米長邦雄: Kindleストア

「運の神様」と言うか、「お天道様」みたいなものを漠然と信じています。

なんとなく、その手の存在に嫌われないように、できたら応援してもらえるように、毎日生活していたいな〜と思って暮らしています。

 そのあたりを言語化してくれた本です。筆者は永世棋聖米長邦雄さん。米長さんは将棋のプロとして勝負に勝ち続けるには、将棋の勉強など努力は大前提として、「勝利の女神に好かれること」が重要だと考えて、その視点から自分や、周りの人のことを見ています。

この一節は折にふれ、思い出します。

女神の判断基準は二つである。それ以外のことに彼女はおそらく目を向けない。これは、勝負師としての経験から言って、まず間違いのないところだ。

一つは、いかなる局面においても「自分が絶対に正しい」と思ってはならないということだ。謙虚でなければならない。どんなに自信があっても、それを絶対と思い込んで発言してはならない。この場合なら、息子のしたことが悪いことで、父親たる私が正しく指導するというスタンスは、女神の不興を買う。

もう一つは、笑いがなければならない、ということだ。どんなにきちんと正しく身を処していても、その過程でまったく笑いがない場合には、どこかで破綻が生じる。少なくとも大成、大勝することはない。

 

 

 

読んでくださってありがとうございました〜!